くじら館の事


 旅先で○○資料館と名が付くような所に行くのが好きです。「ふ〜む、この地方ではこーゆーのが有名なんだ」とか言いながら、おりこうになった気になるのです。まぁ気だけですぐに内容は忘れちゃったりするのですがね。
 そのような○○資料館の中でも、こないだ行った西伊豆の雲見くじら館は印象的でした。
 入り口のサッシを開けて中に入ると、デーンとくじらの骨があります。「おっ!これがくじらの骨だな」と思いますが、それ以外の感想は浮かんできません。まぁデカイけど「スゲー」って驚くほど大きくもないし、小さすぎて「ケッ」って言うほどでもない微妙な大きさで、「ん〜」という感じです。
 近くの小学生が社会科見学で来そうであり、そーゆーのは帰った後に作文を書かされたりするのでしょうが、書かされる方も困っちゃいますね。とりあえず「大きかった」とか書くのだろうけど、ホントは太郎君がパンチを出してきたのでキックを返したら先生に見つかって怒られた事と、実は次郎君と花子ちゃんが仲良く話をしている事に気づいてしまったので、気になって気になってしかたがなくて、くじらの事はあんまり覚えてないなぁという感じでしょうかね。
 話を戻しましょう。部屋中大音量で説明のテープが流れています。説明テープというのも資料館の定番ですね。普通は「ここのボタンを押すと説明が始まります」なんてふうになっていますが、ここのはず〜っと流れており強制的に聞かされます。「テープの声の女性も今じゃずいぶんと老けちゃったんだろうなぁ」なんて事を考えながら壁を見ると、ノウガキや写真のパネルがあります。しかもこれがまた良い具合に黄ばんでおります。他には漁の道具が置いてあったりします。餌木やセンコー板があったりしてボート釣り師としてはニヤリとするところですが、この餌木やセンコー板がずいぶんとボロいのです。太郎君のおじいちゃんのサブローさんが、納屋に転がっていたのを要らないから持ってきた。という感じであります。
 ここで気づいたのですが、まだお金を払っていないではないですか。どうやら1階(2階が入り口)で払うようです。しかしハッキリ言って「これだけかよっ!」とお金を払わないで帰っちゃう人がいそうです。
 僕は小心物なので、1階に降りていきキチンとお金を払います。するとトコロテンのサービスがありますとの事。なんだかよくわかりませんが梅茶をすすりながらトコロテンを頂きます。ちょっと甘めでとても美味しいのですが、くじらとトコロテンのつながりがわかりません。

民宿組合長「観光客を増やすためによぉ、何か見所が必要じゃぁねぇかい?」
町   長「前にあがったクジラは使えねぇかなぁ」
観光課課長「そういえばクジラの騒ぎがありましたね。たしか処理に困って埋めたハズですが」
町   長「掘れば骨が出てこねぇかなぁ?」
民宿組合長「こないだよぉ、孫を恐竜展に連れて行ったんだけどよぉ、なんとかサウルスっつぅのかい?そんなのがあったけどよぉ、あんな感じで展示するってのはどうかなぁ。」
町   長「おーいいねぇ、それで決まりだなぁ」
観光課課長「でも骨だけでお客さんが来ますかねぇ」
町   長「じゃぁついでにトコロテンでも食わしておけばいいんじゃねぇの?」
民宿組合長「おっいいねぇ、それでいこう。なかにはトコロテン目当てで来るやつもいるかもしれねぇからなぁ」


 なんて具合だったのかなぁと思いながらトコロテンを食べるのでした。帰りにもう一度展示室をのぞくと、どうやら雲見ではテングサ漁が盛んなようですね。
 まぁ何度も行く所じゃないけれども、ぜひ一度は行ってみるべきです!トコロテンを食べるだけでも行った価値があるってものです。


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