EAGLE ONE イーグル・ワン



 珍しいボートを入手してレストアしました。

 消防車のポンプなどで有名な森田ポンプ(現モリタ)が、平成2年に小型ジェットポンプを搭載したボートを開発してマリーン事業へ進出しました。その頃はバブルのピークで、浮かれた世の中のムードに乗って間違ってしまったとしか思えない、バブルがあったからこそ産み出された珍品?迷品?だと思います。
 当時、僕は中学生でしたが、晴海で開催されたボートショーで見たような記憶が薄っすらと残っています。

 ヤフオクは定期的にチェックしているわけではなく、気が向いたときに見る程度なのですが、ある日、イーグルワン(平成3年製造)を見つけました。
 しかも、出品者はアウトレージを譲ってもらった方で安心。思わず入札してしまい71,000円で落札。



 レンタカーのトラック(後ろに写っている車)でドナドナしてきました。
 ちなみに、積載車を借りようと思ったのですが、どこのレンタカー屋も貸し出し中。稲刈りのシーズンだったのですが、農家がコンバインを運ぶのに長期で借りているとのことでした(そのような使われ方は想像外です)


 まずは、じゃぶじゃぶと水洗い。
 船体はクリアー塗装も考えていましたが、ワックスを塗っただけで十分キレイになりました。
 それにしてもこのボート、前半分はカッコイイのですが、後ろ半分が「箱」ですね。


 燃料タンクを開けてみると、燃料センサーは完全に腐食。
 タンクの底にはタール状のものがこびりついていました。ガソリンが揮発してオイルの重たい成分のみ残ったのでしょう。


 タンク内の掃除は、穴が小さくて手が入らないので、タール状のものを灯油やパーツクリーナーを使って柔らかくし、棒でこそげ取ることを繰り返してキレイにしました。


 フューエルホースは交換。
 既存の燃料フィルタ(写真上部)はあまりにも汚く、汚れが落としきれないので、別のものを新設(写真下部)。
 それらは、バイク用のパーツを流用しました。


 試しにエンジンを回してみましたが、かかりません。
 燃料が来ていなそうなのでキャブをバラしてみます。


 想像以上に汚れていて、案の定ジェットが詰まっていました。


 ジェットはキャブクリーナーでつけ置き洗い。
 フロートチャンバーのパッキンがやせてしまっていて再利用困難な感じです。
 エンジンはトーハツの船外機の流用なので、トーハツにパーツの入手を問い合わせてみたところ、機関はM70Aモデルだが、保証打ち切りになっているのでわからないとのこと。
 諦めきれずネットで検索していると、海外サイトでパーツリストを発見し、そこからパーツ番号が判明!。国内マリン通販サイトで、その番号を入力してみると、普通に注文できて入手できました。


 座席は、背もたれ、底部、ひじ掛けの3つから構成されていますが、底部がボロボロでした。
 ベースのべニア板を切り出し、スポンジは洗って再利用。表皮はバイクのシート張替え用のもので、同じような質感のものを見つけることができました。


 ブロワーモーターを取り付け。
 中華製のSEAFLO社ですが、この会社はビルジポンプなども作っていて安価です(耐久性は不明)


 バッテリーはホームセンターで軽自動車用のものを購入して交換。


 ドレンのプラグが行方不明だったので、ベースから交換。
 マリンカタログ等では、サイズ表記がざっくりしていて、同程度のサイズのものを探すのが地味に大変でした。


 スピードメーターのピトー管が壊れていたので交換。
 走行に必須のものではありませんがね。


 後進の際は、ジェットの噴出口へ水流反転板的なものを下ろしますが、それを動かすリモコンケーブルが腐っていたので交換。


 プラグを交換して、全体的に掃除し、復活の予感。


 単管パイプで簡単な櫓を組んでボートを持ち上げ、子供プールの中へ着水。
 試運転してみたところ、エンジンもかかり大丈夫そうです。


 トレーラーのタイヤがパンクしていたので交換。
 メルカリで同サイズの安いものを見つけて入手し、自分でタイヤ交換に挑戦。
 と言っても、我が家にはコンプレッサーがなく、「爆発ビート上げ」という恐ろしい方法を試してみました(YouTubeで検索するとやり方が出てきます)1本はうまくいきましたが、もう1本がなかなか出来ずに、結局ガソリンスタンドへ持ち込んでやってもらいました。


 船検を取得後、近所の川へ下ろしてみました。
 軽バンのヒッチメンバーはネットで注文して自分でつけました。


 無事に走行出来ました!


 ハンドルを切るとお尻が滑る感じの独特の走行感です。
 ドリフトさせて、カウンターを当てながら曲がる感じで楽しい。
 あまりにも全長が短いので頻繁にピッチングを起こします。


 雑誌、ボート倶楽部の取材を受けました(2018年9月号掲載)


 YouTube動画を作ってみましたよ。


戻る